2002年度小櫃川河口干潟実習の模様


東京湾の東,木更津市の北に位置する小櫃川の河口域には,東京湾で唯一残された自然の干潟が拡がっています.この干潟では,潮の満ち引きによって生じた微妙な堆積環境の違いがきれいなリップルマークとして観察されるほか,干満の際に生じた海水のわずかな塩分濃度の違いによって,カニや貝などの小動物や底生有孔虫に至る微生物までが環境に応じて住み分けている様子を観察することができます.この小櫃川地域の生物群集やリップルマークを観察することによって,現世の生物種の生息環境や堆積環境を知ることができます.このことは,もちろん,地層という形で残された過去の生物種の生息環境や堆積環境を知る手がかりにもなります.ここでは2002年5月12日(日)に行った小櫃川河口干潟実習の模様を紹介しつつ,小櫃川河口干潟に生息する生物相やリップルの様子を紹介します.
 
1999年度,および2001年度の小櫃川河口干潟実習の様子も掲載していますので,ぜひご覧下さい.
 なお,特に小櫃川河口干潟については,「フィールド今昔物語」として,1990年の当時の様子も掲載しています.ぜひそちらの方もご覧いただき,今と近過去の様子を比較してみて下さい.


実習の模様

午前9時40分にJR内房線巌根(いわね)駅前に集合.今年は去年と違って「干潟実習」日和.
巌根駅から干潟までは1.5kmほどの道のりを歩きます.途中から車で移動します.
干潟に到着.この日は地元の皆さんが大々的に小櫃川河口付近の掃除を行っていました.
今日の調査のポイントと,取るべきデータとサンプルの種類について,遠藤先生が解説.
いよいよ干潟へ出発.ちょうどよい曇り空.

途中で干潟の様子を観察.

一応リップルや生物を観察しています.
干潮時の海岸線に向かって干潟を歩く.
向こうに見えるのは大きな銭湯の建物.
1.2kmほど歩き,干潮時の海岸線に到着.
検縄を配り,調査内容を再確認.
穴を掘り,砂の中に住んでいる貝類を観察.
一定間隔に並んでスタート.でも既に潮は満ち始めている(矢印の先に注目!1つ前の写真に写っている穴です!).嫌な予感が・・・.
スタート地点を探しているうちに潮が満ちてきたため,スタート地点が判らなくなってしまった.果たして大丈夫なのか??
最初からこれです.
すでに水の中.
水中のリップルを必死に観察.
検縄も重い.
最後尾の二人.
調査しているみんなの後ろを舟がゆっくり移動.
水位はすでに膝のあたり.まだ陸地に達していません.
「あ”〜っ,もうどうでもいいやぁ!」よくないよくない.
長靴も全然意味が無くなってしまった.
干潮時の海岸線から700m付近.もう少しで陸.
ようやく陸へ.いちおう一安心.
検縄を引く手にも力が入ります.
陸域でサンプリングとリップルの観察.
ようやくゴールにたどり着きました.
一段落後,カニの巣穴を観察.
1つ古い地層に穴を掘って生活しています.
カニの作った泥団子を観察.その向こう側は干潟ではなく完全に海.
1人海岸線にたたずむテツオ(実はカニを探しているだけ).
実習の最後に,遠藤先生が今後の課題について説明.
参加者全員で記念写真.写真の右側はすでに海.
小櫃川といったら干潟のイメージしかなかっただけに,呆然と海を眺める.
今年はトラブル(?)発生!満潮になったため,帰り道が水没してしまった.
ヒサシとブッダが迂回路を造る.
即席の浮き橋を1人ずつ渡る.
1990年当時の写真と比べてみてください!スゴクキレイになってる!
遠藤先生の車にサンプルを積み,全員無事帰宅.

 


小櫃川火口干潟に生息する生物相

 小櫃川河口干潟には沢山の生物が生息しています.ここではそのごく一部を紹介します.なお,1999年度,2001年度の小櫃川の実習報告にも生物相の写真が掲載されていますので,ぜひそちらも見てみてください.貝はここに掲載した物の他,ハマグリやシオフキガイなども普通に認められます.

ウミニナ.
タマキ貝.綺麗な形をしているが肉食.こいつは悪者.
置き去りにされたミズクラゲ.
こちらは復活したミズクラゲ.
置き去りにされたヒトデ.後でこのヒトデは海にかえしました.
ゴカイの仲間の巣.貝殻を集めて棒状の筒を作り,その中に住んでいます.
その巣を壊すと,中からこんなのが出てきます.
これもゴカイの仲間の巣.
これは何だ??
マメコブシガニ.
ベンケイガニ.これが古い地層に穴を空けて住んでいる.
カニの巣穴.これはシオマネキの巣穴.
カニの巣穴.これはベンケイガニかな?
リップルの間にある泥団子.カニが作り出したもの.

 


小櫃川河口干潟のリップルと微地形


 小櫃川河口干潟では波浪作用によって形成される微地形やきれいなリップルを観察することができます.ここではその一部を紹介します.なお,1999年度,2001年度の小櫃川の実習報告にも微地形の写真が掲載されていますので,ぜひそちらも見てください.


やや傾いた平坦面が干潮時のビーチフェイス.
干潮時の海の中にも,ちゃんと波形リップルがあります.
波形リップル.ややくねくねしていますが,起伏が同じような周期でほぼ平行に配列しているのが特徴.
波形リップルをほぼ真上から見たところ.表面にあるくねくねした模様は,ウミニナの這い跡.
バームの斜面にリップルの無い所が.どうやらビーチフェイスだったらしい.
こんな複雑な模様のリップルも確認された.これはどうやって出来たのか?
流れ型リップル.起伏に対して非対称形をなす.
これは人工的な地形だと思うんだけどな.


実習・巡検報告

第四紀地球環境研究室のページ